雇用動向の重要指標のひとつとして、新聞などでも利用される有効求人倍率。
厚生労働省から発表されている職業安定業務統計「一般職業紹介状況」にて、都道府県別ごとにも確認することができます。
この記事では、大阪府の有効求人倍率と有効求人数をグラフなどを用いて紹介します。
大阪府の有効求人倍率
2020年、大阪府の有効求人倍率の平均は「1.31」でした。平均では「 1 」を下回ることはありませんでした。
ここ10年で、大阪府の有効求人倍率が「 1 」を超えたのは2013年9月からです。以降は1以上をキープしています。
大阪府の有効求人倍率(季節調整値)の推移をみてみましょう。
2006年から2020年の推移をグラフと表にしています。
グラフ:大阪府の有効求人倍率の推移

上記のグラフは、ここ10数年の大阪府の有効求人倍率の推移です。2009年からは世界中でリーマンショックの影響もあり、全国的な不景気となりました。2009年、大阪府の有効求人倍率は「0.52」と全国で14位、落ち込みが少ない数字でした。
2011年から全国的な流れと同様に求人倍率は右肩上がりで上昇し、2019年にピークを迎えます。大阪の場合、他の大都市に比べて2010年から急激に伸びたわけではなく、ゆっくりと階段のような上昇になりました。景気が良くなっていったところへ、2020年は新型コロナウイルス流行の影響を受け、求人倍率は大きくダウンし平均1.31まで下がってしまいました。
記事執筆時(2021年5月)の状況では、2021年3月までの平均は「 1.15 」と下がりました。飲食業や観光業のダメージは深刻ですから、依然として厳しい状況にあります。
有効求人倍率とは?
有効求人倍率とは、「有効求人数を有効求職者で割った数」で、倍率が1を上回れば「求職者より募集の方が多い」となり、1を下回れば「募集より求職者の方が多い」ことを示します。
なお、当記事ではニュースなどで一般的に使われる「季節調整値」のデータを使用しています。
「有効求人倍率とは?」のページにて、例を出して詳しく解説しています。
大阪府と全国の有効求人倍率の比較
大阪府と全国の有効求人倍率の推移(グラフ・表)

年号 | 西暦 | 全国 | 大阪府 |
---|---|---|---|
平成18 | 2006 | 1.06 | 1.22 |
平成19 | 2007 | 1.04 | 1.26 |
平成20 | 2008 | 0.88 | 0.94 |
平成21 | 2009 | 0.48 | 0.52 |
平成22 | 2010 | 0.52 | 0.52 |
平成23 | 2011 | 0.65 | 0.65 |
平成24 | 2012 | 0.80 | 0.77 |
平成25 | 2013 | 0.93 | 0.96 |
平成26 | 2014 | 1.09 | 1.11 |
平成27 | 2015 | 1.20 | 1.20 |
平成28 | 2016 | 1.36 | 1.38 |
平成29 | 2017 | 1.50 | 1.57 |
平成30 | 2018 | 1.61 | 1.76 |
平成31/令和元年 | 2019 | 1.60 | 1.78 |
令和2年 | 2020 | 1.19 | 1.31 |
全国平均値と大阪府の有効求人倍率を比較してみると、全体的に全国平均と同等の数字で推移してきましたが、2017年辺りから全国を超えるようになりました。2014年以降は倍率も「 1 」を割ることはなく、2019年には1.78と求職者が仕事を選べる状況になっています。逆にとると、人手不足になってきていた状況ではありました。
大阪は西日本経済の中心的役割を担っています。産業活動は、第2次産業ならエレクトロニクス、医薬品、産業機械、デバイス、化学、食品、建設などの製造業、そして総合商社、専門商社、百貨店などの流通業・物流業、また、金融などの3次産業(サービス業)がバランスよく立地しています。
2020年5月時点で最新の国勢調査では、大阪府で15歳以上の就業者数が多い産業は以下の通りです。
15歳以上の就業者数 | 就業人数 | 全体に占める割合 |
卸売業、小売業 | 613,001 | 16.2% |
製造業 | 593,020 | 15.7% |
医療、福祉 | 457,739 | 12.1% |
建設業 | 244,592 | 6.5% |
特定の業種の割合が特別高いわけでもなく、バランスよく多くの企業が活動しているのが大阪府です。卸売業、小売業についても、東京に次いで全国第2位の実績を誇ります。
新型コロナウイルスの影響は、今の所、全国的に景気回復の傾向にはありますが、大阪は遅れがみられます。
理由としては、非正規雇用者が多かった「宿泊・飲食サービス」「生活関連サービス・娯楽」「その他サービス」「小売・卸売」などの業種が、コロナの影響を受けて事業主都合による離職となっていること、それらの業種の回復の見通しがなかなか立たないことが挙げられます。
大阪府の有効求人倍率は全国何位?
全国47都道府県の中で、大阪府の有効求人倍率は何位くらいでしょうか?
直近5年分をランキングにしてチェックしてみました。
2016 | 18位 |
2017 | 17位 |
2018 | 10位 |
2019 | 10位 |
2020 | 13位 |
2020年は全国的に求人状況が悪化し、各都道府県の求人状況は混乱しているなか、大阪府の有効求人倍率のランキング順位は全国13位でした。直近5年の平均順位は14位です。
コロナ前までは上位でしたが、飲食業界、観光業界を中心に大きなダメージを受け、求人数が減少して倍率も下がりました。大都市大阪もあらゆる面で混乱している状況です。
近隣エリアとの比較
グラフ:大阪府と全国の有効求人倍率の推移

近隣である京都、兵庫、そして東京との推移比較です。
関西エリアでは大阪府が第1位の求人倍率です。
グラフを見ると、やはりリーマンショックの影響がいかに大きかったかが伺い知れます。
その後は順調に回復していきましたが、2020年は新型コロナウイルスのダメージを大きく受けてしまいました。
大阪府の有効求人数
大阪府の有効求人数をみてみましょう。2009年のリーマン・ショック以降、全国的には形が右肩上がりの流れになっていて、大阪府も同じような流れになっています。求人数は2018年が数字的なピークで最も高くなりました。
求人数は、ここ10年でみると10万人〜23万人で推移しています。
大阪府の有効求人数推移
大阪府の有効求人数の推移(グラフ・表)

西暦 | 有効求人数 | 新規求人数 | 新規求人比率 |
---|---|---|---|
2006 | 192,267 | 72,242 | 37.6% |
2007 | 188,044 | 67,692 | 36.0% |
2008 | 141,295 | 51,855 | 36.7% |
2009 | 102,073 | 39,943 | 39.1% |
2010 | 108,615 | 43,704 | 40.2% |
2011 | 131,018 | 50,649 | 38.7% |
2012 | 148,581 | 56,262 | 37.9% |
2013 | 171,605 | 63,983 | 37.3% |
2014 | 180,914 | 65,800 | 36.4% |
2015 | 185,247 | 66,619 | 36.0% |
2016 | 198,892 | 71,127 | 35.8% |
2017 | 217,983 | 77,049 | 35.3% |
2018 | 232,978 | 81,022 | 34.8% |
2019 | 235,849 | 82,621 | 35.0% |
2020 | 185,886 | 63,875 | 34.4% |
新規求人の比率では、こちらも年々、全国同様にゆるやかに割合が下がっています。大阪府の産業は様々な業種がバランスよく成り立っていますが、非正規の求人が多かった飲食業界、観光業界が厳しい状況であるため、2021年度はさらに求人比率が減少する見込みです。
2021年6月現在のハローワークの求人案件(30歳設定で検索)は、フルタイム正社員で約33,200件でした。対して転職情報サイト「indeed」で大阪府内の正社員を検索すると、約123,900件の情報が見つかりました。転職エージェント「リクルートエージェント」では非公開を含め、約32,300件の情報があります。
自分の転職市場での価値、大阪での転職の実情を知りたければ転職エージェントへの登録をおすすめします。
有効求人数とは?
有効求人数とは、公共職業安定所(ハローワーク)に登録された求人のうち、期間中(月間)に新たに受け付けた求人数(採用予定人員)と、前月から繰越された有効求人数(前月末日現在において、求人票の有効期限が翌月以降にまたがっている未充足の求人数)の合計数をいいます。
わかりやすくすると以下のようになります。
有効求人数 = 新規求人募集数(採用予定人数)+ 採用が決まっていない引き続き募集中の求人数
大阪府内の求人を紹介している転職エージェント
有効求人倍率と有効求人数は、あくまで公共職業安定所(ハローワーク)の数字のみを反映したものです。
商業、金融業、運輸業、情報通信業、サービス業などの第3次産業などは、ハローワーク以外の転職情報サービスで募集されることが多いです。
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